長年使い慣れたものほど、「これはこういうもの」という先入観が邪魔をして、そこにある改善の余地を見逃してしまいがちだ。
今回ご紹介する、プラス株式会社(以下、プラス)のダブルクリップ「エアかる」は、これまで看過されがちだった「開きづらい」「指が痛くなる」といった不満点を解消。「驚くほど軽く開く」ダブルクリップという、イノベーションをもたらした。

遡れば、1915年に米国で特許登録がされて以降、ほぼ原型を留めたままだったダブルクリップ。およそ100年越しの進化となったエアかるは、従来品と比べ、最大で約半分の力で開くことが可能に(プラス調べ)。まるで空気をつまむかのようなその「軽さ」は、特許出願中の独自の新機構のたまものだ。

具体的には上図のように、本体部分に突起をつくることで、支点の位置をずらして負担を軽減。さらにレバーの長さも伸ばすことで、より軽い力で簡単に本体を開くことができるわけだ。
また、レバー先端の形状をフラットに変更することで、指の接地面積が大きくなりフィット感もアップ。滑りにくく、「クリップがパチンと弾け飛ぶ」ようなことが起こりにくいほか、指へのあたりもよりソフトになっている。

エアかるのサイズは、全7種類。発売当初からある大・中・小のほか、2018年11月30日には超特大・特大・豆・極豆がラインナップに加わった。
「大きいサイズこそ開きにくい」という多くのユーザーの声から生まれたという超特大・特大サイズは、約35%(従来品比)軽い力で開くことができ、およそ200枚もの書類(超特大サイズの場合)を挟むことができる。
少量をまとめるのに便利な豆・極豆サイズには、前出の突起部はないものの、レバーの形状変更と長さの調整により、開くのに必要な力を約25%(従来品比)減少させることに成功。こちらも指の痛みが軽減され、使用感が高まっている。
エアかるは、クリップ留めをより快適なものにしてくれると同時に、イノベーションの可能性が、自分のごく身近なところにあることをあらためて教えてくれている。「小さな不満だから」と、あなどるなかれ。